いま現在、レザークラフトで使われている素材で、圧倒的なシェアを占めているのは、何と言っても「牛革」でしょう。
そもそも市場に出回っている量が、他の素材と比べてダントツに多いので、当たり前なんですが、、。
ところが、レザークラフトに慣れてくると「なんかオリジナリティを出す方法ってないかな?」とか、「そろそろ牛革以外の革も使ってみたい!」などと、いろいろ模索しはじめるものなのです。
そこで今回、私がオススメしたい素材というのが「ジビエの革」です!
ジビエと言って、まず連想するのは食肉ですよね。
レストランのメニュー食材にも使われていて、普段もよく見かけたりするので馴染みもあります。
実は、その食肉として加工されたのちの副産物が革(レザー)なのです。
ジビエの革には、独特の風合いを持ったものが多く、レザークラフトに使ってみるだけでオリジナリティを発揮することもできます。
その反面、いくつかの問題点もあわせ持っているので注意も必要です。
そこで本記事では、ジビエ革のレザークラフトをはじめるにあたり「事前に知っておいて良かった!」と思ってもらえるようなこと。
「ジビエの革を入手するときに抑えておきたいこと」について解説していきます。
ジビエの革とは?
そもそもジビエとは、狩猟で食材用に捕獲された野生鳥獣のことを言います。
具体的には、ウサギ・イノシシ・シカ・クマ・カモ・キジなどの動物を指すことが多いです。
最近は、野生動物が人里まで下りてきて田畑を荒らす農作物被害や、人がクマに襲われたなどといったニュースを見聞きすることも増えましたよね。
これでもうジビエの革とは、どのような動物たちのことなのか想像がついたと思います。
この記事では、レザークラフトでいつも使っている素材(牛革)に代わって、オリジナリティを発揮できる素材として、ジビエ(野生獣)の革をオススメしています。
一般的に流通している革の多くは、牛・豚・羊・馬などに代表されるように、古くから家畜として飼育されてきた動物です。
食肉加工後の副産物として利用されてきた背景から、すでに流通形態も確立されており、量、質ともに安定しています。
それに比べてジビエの革の元は、人間の都合でやむなく駆除された野生動物です。
その被害が増え続けているとはいえ、狩猟期間も限定的であることから、流通量がまだまだ少ないのです。
その上、野生動物特有の傷や、狩猟の際に与えたダメージによって、革としての状態も安定していません。
だからこそ、さまざまな問題点をクリアして作られたジビエの革製品には、オリジナリティがにじみ出てくるのです。
ジビエの革を入手するときに抑えておきたい3つのこと
ジビエの革を入手する際には、いくつかの注意点があります。
単発(1回だけ)であれば、ネットでも比較的簡単に購入できますが、、、「届いてみたら想像と違う(泣)」といった話はよくあることです。
もしかしたら、今までにこのようなことを何度も経験していたり、他からもよく聞くことがあったりするかもしれません。
いわゆる「革あるある」というやつですね。
そんなリスクを最小限に抑えるためにも、現物(革)の状態は、できるだけ事前に把握しておきたいものです。
そこでジビエの革を入手するとき(とくにネットで)、販売元とのやり取りの中で、これだけは抑えておきたいことを【3つ】にまとめましたので、ぜひ実践してみてください。
※これはジビエの革以外にも役立つことです
傷はナチュラルかを見極める
傷(穴)や色ムラ・シミは、写真で見極めましょう。
※サンプルと現物はまったくの別物ですので、あくまでも現物をです。
判断の基準は「生き物がもつ特徴(個体差)」なのか、「後天的(人工的)な要因」なのかです。傷がわかりにくいときには、革を裏返して、床面(裏面)から見て触ってみるとよいですよ。
欧米では、革の傷に対する評価が比較的寛容です。
しかし日本国内では、厳しい評価をされてしまうケースが非常に多いです。とくに後天的なものについては、低評価(クレームにも)につながります。
ですが「無傷のジビエの革など存在しない」このようなことも、あわせて承知しておきましょう。
サイズと厚みを単位で把握する
サイズ(デシ)と厚み(ミリ)は、しっかり聞き込みをしましょう。
これらは、写真でもある程度は確認できるかもしれません。
しかし、念のために「ds(デシ)やmm(ミリ)」といった単位で把握しておきましょう。
なぜなら「何を作るのか?」によって、必要なサイズや厚みは異なるはずですし、こればかりは、「個体差だから仕方がない、、」では済まされないことです。
とくに「サイズが足りなかった、、」なんてことは、致命的な問題にもつながりかねないことなので、製品の特長に合ったサイズと厚みを選びましょう。
販売元との交渉は粘り強く
あなたはお客さん(購入者)です。
しかし、事前のやり取りを拒む販売元もいます(むしろ拒むところのほうが多い?)。
なぜなら、販売元からすれば、この作業は割りに合わないことで、非常に面倒だからなのです。
革(レザー)は、元を辿れば生き物ですので個体差があります。
いつも使っているリピートの革でさえ「前とぜんぜん違う、、」といったこともあるくらいですから、そんなやり取りまでしていられないのです。
ですが販売元との交渉こそ最も重要です。
交渉によって信頼関係を築ければ、優先的に良質な革が入手できたり、耳寄りの最新情報が入ってきたり、私たちの手で欲しい革を直接選ぶことさえも許可してくれたりします。
ですから販売元とは粘り強く交渉しましょう。
まとめ
ジビエの革とは、狩猟によって捕獲された野生動物の革であること。
とくに、個体差(ブレ幅)が大きくて、取り扱いには細心の注意を払わなければならないことは、この記事でお伝えしてきました。
普段のレザークラフトにおいても、ジビエの革を入手するときに抑えておきたい3つのことを実践してみるだけで、初心者はより中・上級者に近づいていけるはずです。
私は自ら目利きした革以外をレザークラフトには使いません。革を直接「見て・触って・嗅いで」から選んで購入していますので、自分が思い描くものづくりを実現できています。
繰り返しになりますが、これから革の販売元との信頼関係を構築しましょう!
最後に私がオススメするジビエの革を紹介しましょう。
今現在、日本国内に流通しているジビエの革の大半は「シカ・イノシシ」が占めています。
この2種類が、最も多く獣害として駆除されていることになるわけです。
ものづくりの観点からみても、シカ革はディアスキンとして一般に流通していますので馴染みもあるでしょう。
イノシシ革はピッグスキン(豚革)に性質がよく似ています。
というわけで、これからジビエ革のレザークラフトをはじめたいときには、最も扱いやすい「シカ革・イノシシ革」を選んでチャレンジしてみてくださいね。
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